生理学(Physiology)は、生命活動の動的機構の解析を目的とし、細胞や器官の機能解明と、これらの機能が統合された個体全体の生命現象の解明を目指す学問である。現在の学問領域の多くは解剖学、生理学から分化発展したものであり、医学知識の基本的な部分を占め、専門課程の最初に学習することになっている。生理学の守備分野は非常に広範な領域を含むが、大きく植物機能と動物機能に分けられ、「生体の構造と機能」の機能理解を担当している。
植物機能とは、生物の生命維持に必須な機能であって、血液、循環、呼吸、消化、排泄、代謝内分泌などが含まれ、端的には、内臓機能とも表現しうる。これらは、自律神経およびホルモンによる調節を受けるので、これらの調節系も植物機能として取り扱われる。
一方、動物機能は、骨格筋や神経系に代表される機能であり、筋、神経細胞の共通の特徴である興奮性の理解から始め、筋肉特有の収縮機構、情報伝達部位であるシナプスの働きについて分子のレベルまで掘り下げて解説し、理解を促す。また、神経系の動作機序を、脊髄・延髄レベルでの反射機構から、感覚情報処理、運動出力系というより複雑な系についても説明する。